
「バースドゥーラ(お産付き添い人)」の 役割とこれから
イベントトピックスとして「バースドゥーラ(お産付き添い人)」の活動のため、こちらの施設(ミーティングルーム、シェアキッチン&カフェ)を利用されている児島由季子さん、坂根みゆきさんにお話しをお聞きしました。
●フォトグラファーでバースドゥーラの国際ライセンスを持つ児島由季子さんの 場合

バースドゥーラを志した動機は?
初めての出産は、大牟田市にあった小さな助産院。75 歳の助産師さんが妊婦検診から 分娩、産後ケアまでを行い、私に使った医療機器は血圧計だけで、彼女は分娩はもちろん、全ての出産をサポートしてくれました。
昭和の面影が残る分娩室は自然光に包まれた美しい部屋でした。 赤ちゃんがこの世に誕生した瞬間-曇っていた空にひとすじの光が差し込んだ―そんな“光”の印象が強く心に残っています。そして 私の視線の先にはマリア様の絵が輝きを放っていました。
その神聖な光景は、出産に対する「痛い」「怖い」といった印象が一変し、命の誕生がこんなにも尊く、神聖で美し いものなのだと心から感じました。 あまりにも聞いていた話と自分が体験した出産が違いすぎて、「これは今から産む人たちに伝えないといけない」そう感じ出産の写真を撮り始めました。

それから、病院出産、助産師さんとのホームバース(自宅出産)、助産院出産とたくさんの女性たちの出産に立ち会わせて頂き、2019年に運命の赤ちゃんに出逢います。
ホームバースを希望されていたのですがお腹の赤ちゃんに心疾患が見つかって、九州 で一番大きな総合病院で出産することになったのです。 自分達の「今」を記録に残してほしい。そう依頼を受けて出産に立ち会いました。 今まで、助産師さんがワンツーマンで産婦さんに寄り添う出産ばかり立ち会わせて頂 いたので、総合病院の医療者さんの忙しさ、慌しさに驚きました。 そして、産婦さんが陣痛中に一人になってしまう時間がとても長かったんです。 今まではカメラマンとして、ただ陰のように、邪魔をしないように、そこにいたのですが、はじめて自分にも何か役に立てることができないか?と感じました。
実際、出産に立ち会い、産婦さんのそばにいる人が一人でも女性の味方であったらお産は想像以上にうまくいくことが多いです。
どんな風に、自分に何ができるだろうか。と考えていた矢先に、インドネシアのバリ島で 24 時間 365 日、無償で医療を提供しているブミセハット国際助産院の院長助産師 ロビン・リムさんの言葉に出逢います。
「世界中のどの村にも、助産師が存在する前からお産を助ける存在がいた。それが ドゥーラ」 まさに、それだと思いました。
そして同年に DONA(国際北米ドゥーラ協会)の認定講習を受け、2023 年にバース ドゥーラと産後ドゥーラの国際資格を取得、現在はバースフォトグラファー、バース ドゥーラとして活動しています。

●現在活動していること
出産にかかわる周産期の中で、世界では当たり前のように選択肢がある問題でも 日本ではまだまだ情報や現場の環境が整っておらず、選択肢が一つしかない場合が 多くあります。 最近では、麻酔分娩(無痛分娩)を希望する妊婦さんがとても多いのですが他の選択肢 が自分の地域になく、そしてアクティブバースや、助産院出産、ホームバースなどに対する情報がうまく伝わっていないからだと感じています。
産み場所の選択肢、産み方の選択肢、そして女性たちが主体的に自分の出産に取り組め るように「ドゥーラカフェやお話会」「助産師さんやバースキーパーズ(出産支援者)向 けの講習会」などを開催し、情報や技術の習得、子産み子育てのコミュニティ育成のための活動をしています。
また、母子と家族を尊重した出産を目指す「国際出産イニシアティブ(ICI)」の考え方 を広める活動にも取り組んでおり、今秋にその共同委員長であるポナロ・パスカリ・ ボナリ氏を迎えて「JAPAN BITH FORUM」を東京と熊本で開催する予定です。
さらに日本の伝統的な出産文化や技術の素晴らしさを国内外に発信し、出産に携わる 人々との国際交流を通じて、学び合える場づくりも進めていきたいと思います。
●イベントの情報はこちらから 脱衣マザーズネットワーク Instagram http://www.instagram.com/ena_mothersnetwork/

●『菊池みらいベース』を利用する意味
SNS をはじめとした情報社会ではありますが、これからは人と人の顔が見えて 同じ地域で支えあうコミュニティの存在が大きく人生を左右すると考えています。 出産の体験談や今生きていくために必要な智慧、そしてこんな人と繋がるとお互いが もっと豊かになるのではないか。そんな顔が見える付き合いだからこそ、お互いが高め合える関係を築くことができます。
菊池みらいベースでは、菊池市内外から衣食住を豊かにするために集う素晴らしい 方々が多くいらっしゃいます。そして、子育てを終えて地域を育んでいくステージの 方、今まさに我が子を子育て真っ最中の方、これから家庭を持つ方、3世代交流をするのにぴったりな場所です。
日本の豊かな子産み子育ての文化を、先輩方、そして今現役で頑張っているママさん、 それぞれの視点で次世代につなげていくためにお互いの智慧を出し合って、よりよい 形へと発展していける拠点になっていけたらと思います。
●坂根みゆきさんの場合「私がバースドゥ―ラを志した理由」

23 歳のとき。屋久島への一人旅で出会った一冊の本をきっかけに、「自然なお産」 という世界を初めて知りました。
その後、自宅出産で二人の娘を迎えた経験は、自分の中に眠っていた〝野生の力〟 を思い出させてくれました。 その力を存分に発揮して出産できた事は、愛情に満ちた子育てへとつながっていきま した。
私は、衣食住を大切にする日々の暮らしの中にこそ、人としての自然な感覚や力を育て るヒントがあると感じています。だからこそ、女性ひとりひとりが自分らしく出産を学 び、その意志が尊重される社会をつくりたい。 安心の中で、心地よさや喜びに満たされながらお産ができる世界を目指して、バースド ゥ―ラの学びを始めました。
ドゥ―ラは妊娠中から産後まで、心と体、暮らしの面で寄り添える存在です。そのあり方は、私自身の死生観や人生観、そして日々の暮らし方が土台になっています。
お産や子育ては人生の営みそのもの。そこに関わり続けられることは、私にとっておおきな喜びです。 これからは、奄美の伝統発行飲料「ミキ」や、排せつに寄り添う育児、おんぶなど、私 が実践して心から楽しかった子育ての知恵を、次の世代に伝えていきたいと思ってい ます。
(写真:児島由季子)